Boichi氏と言えば「サンケンロック」の印象が強く、
個人的にはそこまで注目している作家ではないので本作を買うのにも少し抵抗がありました.
しかし、いざ読んでみるとその圧倒的なスケールの世界観と膨大な量の設定に驚かされ、
そして登場人物の巧みな心理描写とラストの大どんでん返しにしばらく放心状態に陥らされました。
これら全てを40ページ程度で収め、読み易い文章と丁寧な構成で完成させる手腕には心底感嘆します。
表題作「HOTEL」では名作映画を凝縮したような密度の濃さを堪能し、
「PRESENT」では夫婦2人の絆に涙が止まらずしばらく泣きっ放しになり、
「すべてはマグロのためだった」では質の高い笑いと二転三転するストーリーに魅了され、
「Stephans」では巧みな伏線と衝撃のラストに度肝を抜かれました。
最後の「Diadem」は圧倒的な画力で描かれたオールカラーの作品で、
14という少ないページ数に壮大な世界観を詰め込み綺麗に畳んだ秀作になっています。
どの作品もそれひとつで映画が作れるんじゃないか?というほど完成度が高いです。
最初から最後まで一切の妥協なく作り込まれたハズレなしの短編作品を
5つも収録しているのだから面白くないはずがない!
おまけも星新一氏のショーショートみたいで面白かったですよw
おそらく今年、いや2000年以降に刊行された作品群の中でも文句なしに1位の作品です!
こう言うと作者さんに失礼かもしれませんが、絶版になる前にぜひ手に入れましょう!
漫画好きだけではなく全ての人に読んでもらいたい至高の一冊です。