オリバー・ネルソンはデイブ・ブルーベックやジョン・ルイスなどと並ぶ有能な作曲家だ。このアルバムに収められた6つの曲はいずれもネルソンの作曲であるが、そのどれもに共通したルールがある。ブルースかまたはガーシュウィンのI Got RhythmをベースとしたAABAスタイルのどちらかということだ。
ブルースといっても12小節の進行を繰り返すだけではなく、Stolen Momentsのようにテーマを16小節に拡大したり、CascadeのようにブルースをAABAスタイルにしたりと様々である(特に面白いのはCascadeのモチーフはネルソンが学生時代に練習していたサックスのエチュードがヒントになっている点だ)。Yearnin'は最初の12小節をエバンスがリードするなど構成のバリエーションも様々なので、たった6曲のアルバムでも内容は充分だ。
このように2つのジャズの王道を行くスタイルのみでメロディやアレンジを追及した姿勢は、マイルス・デイビスが和声を離れモーダルジャズへの道を切り開いたKind of Blueに近いといえる。その中でビル・エバンスをピアニストとして選出したのはネルソンの狙いだったのだろうか。
単純にブルースを楽しめる内容だが、繰り返し聴くと奥が深い。改めてブルースとジャズを好きになれるアルバム。