以前から、ただならぬ信念とオーラを纏った人とは思っていたが、
ここのところ声優として着実に力を付けてきた「ゆかな」名義のアルバム。
コードギアスC.C.役にて堪能しつくした、そのまるで一種独特の魔力のような、
本人の妖精にも似た可憐な見掛けに寄らない、そんな印象が、そのまま奏でる音楽にも
如実に表れている気がする。かと思いきや、自身で作詞作曲まで手掛ける徹底振り!
最近よくある「声優の出すCDアルバム」とは、彼女の場合趣が少し異なっているようである。
どこまでも穏やかな、しかし深く、しなやかで力強くもあるバラード中心の楽曲からは、
見かけの華やかさは微塵も感じられない。むしろ彼女自身が強く願う心のすべて、
余分なものを削ぎ落とした、その「表現」そのものに、まず比重がある気がする。
楽曲構成としては非常にリラックスできる、アルバムタイトルやジャケットから
窺える通りの世界が繰り広げられている。その中で何よりも光を放っているのは、
やはり、ゆかな自身の艶やかコケティッシュな風情にあふれる変幻自在の歌声の魅力。
可憐な少女から実年齢の大人の女性まで、あるいは、まるで魔女的なオーラまで放つ
その歌声は、曲のテーマに沿ってミクロにもマクロにも自由に世界観の幅を広げる。
(どことなく舞台で歌ってこそ映える宝塚スターの楽曲という雰囲気もある)
ギアスキャラソンなどでも、その歌声や歌唱力には定評があり(声優のみならず
以前から歌手活動をしていたことを知らなかったこともあるが)そして本作で、
改めて彼女の歌声の、いやむしろ、その「声」そのものの持つパワーに驚かされた。
聞けば幼少の頃、「病弱で大人になっても長く生きられないかもしれない」そう、
医者に診断されたからこその「生」への執着が、彼女自身の力の源となっているのか。
だとしたら彼女は、なんと素晴らしい「生きるということの鑑」だろうか。
ふと、10年ぶりのオリジナルアルバムであるという本作を聴きながら、
そんなことを思ったりもした。
"深淵-abyss"―...そんな内的テーマを授けたいほど、ゆかな
という人の表現力は歌の方面においても、やはり抜かりないようだ。
歌も含めて「声」=「生、命」であると改めて気付かされた。
そしてだからこそ、この静かな力強さにあふれた歌声に癒されるのだと...
その深さに、あらためて触れて欲しいと思う一枚。