過去、The Cureが表現してきた「感情」の表現という意味では、
最高傑作と言えるのではないだろうか。
過去のThe Cureがトライしてきたのは、
「Prornography」「The Top」期に見られる狂気を織り交ぜた「孤独」の表現と、
自ら空ろなことを自覚した上の「楽観」の表現だが、
かつてのそれは、どちらも、ある種の「激しさ」を伴うものだった。
このアルバムは、タイトル曲でこそ、
その「激しさ」がわずかに垣間見れるものの、
基本的には穏やかなトーンで流れていく。
しかし、曲を進めるごとに、その穏やかさの中に、
激しさと等質等量の「深み」が備わっているのに気がつくだろう。
一曲目のあの空気感を感じてほしい。
時折、どうしようもなく、涙がこみ上げてくるような瞬間。
一度、徹底的な絶望を味わった人間が見せた
穏やかさの中に渦巻く万感の想い。
安易で似非な言葉の慰めなど、このアルバムの音の前には無力。
毎日、聞きたくなるようなアルバムではないが、
彼らしかなし得ない表現という意味では、
リスナーを決して裏切らない作品だったと思う。
いわゆるポピュラー・ミュージックの領域で、
これをやる意味があるかは別として、
一度は聞いて見る価値はありますよ。