いきなりJason Moranの物哀なピアノが流れ、続いて洗練された古いブルース調にJoe Henryのボーカル、圧倒される。
今回のJoe Henryは近作のプロデュース作Allen ToussaintやElliottの流れを組む豊潤なブルース、ジャズにJoe Henry特有の知性的な進行とアレンジ、ストーリー性が加わり、緊張感のある1枚に仕上がっている。
ひとつの音でも狂えば全てが壊れてしまいそうな儚さと、音楽に対する膨大な知性からなる太さ、が、決して完璧ではなく微妙な粗さも兼ね備え(それすら計算された彼の哲学を感じさせるのだが)それらが集約された世界観を展開している。
どこからが音楽の隙間で、どこからが完璧で、どこからが計算で、どこまでが彼の手の内なのか?把握したくても安易ではない太いアルバム。
Randy Newmanより近く、Tom Waitsよりも一歩引いた発信者から音楽までの微妙な距離感に、美しさが映える。
しかもしっかりと大衆的な音楽性や歌心を堪能させるのだから凄い。