本のかなりの部分を占めているのは父親の子供の頃や若い頃のどこまでが本当だか作り話だかわからないエピソードの数々・・・一方合間に挿入されている死の床にある父親と息子のやりとりは、死を目前にして別れを何度もシミュレーションしているかのようだが、深刻なはずなのにやはりどこかユーモラスでそれでいて父子の会話が切ないです。
確かに父親の若い頃の数々のエピソードは、ある時は御伽噺のようであり、ある時は神話のようであり、ジョークのようでもあり、そんな感じがすればするほど読んでいて純粋に面白かったです。
現実的な会話は少ないが、こうした数々の不思議なエピソードが結局親子の絆となり、息子も何かを信じるというか何かを見出すというのが、感動的でした。
最期の場面はやはり、素敵な御伽噺のようでしかも凄くじーんときました。
それにしても、この本の素晴らしいところは、フィクションのもつ意味というか魅力を改めて感じさせてくれたことだと思います。
これほど、どこまで本当なの?でも、普通なら有りえないんだけどもしかしたら有り得るかもしれない、と思わせるような本はなかなか無いと思うが、それは、何かしらの真実を見出せるからだと思います。
とにかく、読み終わって切なくも何かふわっと暖かいものに覆われた気持ちになれました。