UK生まれのインド人(UK Asian)。この時点で3枚のフルアルバムを制作。アシッドジャズとクラブカルチャーをミックスし、独自のサウンドを展開。前作ではそのサウンドを称してタブランベースなどと呼ばれ注目を集めました。そんな彼の4作目がこれ。今作はトリップホップな要素も加味した非常にクールでカッコイイアルバムに仕上がっています。冒頭の曲"Broken Skin"、トリップホップな気怠いダウンテンポはほんのりジャジーで、そこにファンキーでソウルフルな女性ヴォーカルが歌います。続く"Letting Go"は Tina Grace の霞むように儚い歌声が染みわたるアンビエント・ポップな曲。この冒頭の2曲を聴いただけだと、これが本当にUK Asian?と思ってしまうような展開。しかし次の"Homelands"でガラっと変わる。パーカッションやアコースティックな弦楽器などの多彩な音色にジプシー、カッワーリなどのヴォーカルパートが圧倒的な存在感を持った曲。次の"The Pilgrim"はなんとラップ。サーランギーに似たストリングスが妖しく響くダウンテンポなラップ・グルーヴ。言葉運びもカッコイイし、なにげにアルバム中一番好きな曲だったりします。"Nadia"はSwati Natekarのインディアンヴォイスが美しいドラムンベース。"Serpents"ではカタックダンスのヴォーカルリズムを口タブラでやってて面白い。"Nostalgia"ではまたしてもTina Graceが登場。ここではトリップホップ色の強いアレンジとTinaのウィスパーヴォイスが効果的に混ざり合っています。#11では壮絶な口タブラが炸裂。2人の口タブラ奏者(あえて奏者と呼びます)が神業とも思える口技の掛け合いを見せる圧倒的な曲。聴いてるだけで舌が絡みそうです。ブリティッシュとインディアン、この2つのアイデンティティを持つ彼の天才的に恵まれた感覚が我々に持たらす恩恵は計り知れない。エレクトロをベースにしながらも有機的に震動する類い希な世界を描き出している。日本盤には"Homelands"のリミックスが2曲追加されててお得です。