忙しい日常を送り、ホッとする瞬間に聴きたい音楽は、喧騒やざわめきとは対極にある安らぎと優しさのある音を求めることになります。現代の作曲家でそのような癒しや懐かしい故郷の情景を思い浮かべるのに最適なのが、千住明の一連の曲だと思っています。
この『Best WishesIII』に収められた曲群は、それぞれテレビドラマの主題歌であったり、一連のアルバムの挿入曲であったりと出自は違いますが、いずれも千住明の個性が感じられる楽曲ばかりです。
冒頭の「SUPER KEIBA」の颯爽とした金管楽器のファンファーレを伴った勇壮な曲もまた彼らしい美しいメロディを伴っており、中間部のストリングスのメロディから競馬場を駆け巡る優駿の疾走感が伝わってきます。
いずれの楽曲からも温かさや懐かしさの響きが感じられ、自然が一杯の野や山、川や海、移りゆく四季の変化、素晴らしい日本の姿が浮かんできました。日本の旋律、楽器の特性など知り尽くした作曲家ですので、心豊かな日本の美を音として再現できるのでしょう。
音楽のジャンルを問わず、心の深いところを揺さぶるような音楽と出会う楽しみは何物にも代えられません。ヒーリング・ミュージックの趣きもありますが、音楽ジャンルの分類という枠組みや範疇に納まることなく、悠久の時を越えて蒼穹に融け込むような広がりを感じさせます。
千住明が紡ぎだしたステキな音楽は洋の東西を越えて、文化を超越し、全てを凌駕して伝播することでしょうし、世界中の人に聴いて欲しい音楽だという感想を持ちました。
心の豊かさってなんでしょうか。感受性を高めて、心のひだに染みこむようなこの『Best WishesIII』をお聴き下さい。