私にとってロイ・オービソン作の CRYING を初めて聴いたのは81年にヒットしたドン・マクリーンのバージョン(全米5位)でした。アコースティックギターの弾き語り風で始まり、後半のストリングスをバックにファルセットボーカルのcrying・・・がからむ盛り上がりに、こんな曲があるのかと感動した憶えがあります。FEN、ラジオ関東のAMERICAN TOP40くらいでしかオンエアされてなかったように思うし、近くのレコード屋さんにもなかったのでドン・マクリーンがどんな歌手なのか知らず1発屋のカントリー歌手くらいにしか認識していませんでした。その後、マドンナが AMERICAN PIE をカバーしたことであらためてドン・マクリーンの存在を知ったのですが、このベスト盤にたどり着くまでにずいぶん遠回りしてしまって一生の不覚という思いです。味わい深いボーカルも魅力ですが、自作自演のシンガーソングライターだったとは!!とにかく全曲が素晴らしいです。アコースティックギターをベースにカントリー風のボーカルを聴かせたりもするのですが、音楽的には弾き語り、フォークロック、クラシックなバラード、アカペラ、ボサノバ風ありと実に多彩であり、ジャンルで括ることはできません。あえて言えばアメリカンポップ、ロックの才人。すごくアメリカを感じさせる。でも英国のハリー・ニルソンを思い出すようなところもあり、このあたりニューヨーク出身というところと関係があるのかもしれません。アメリカンでありながらグローバルな印象もあるのです。
71年の全米ナンバー1ヒット AMERICAN PIE は一度聴いたら忘れられなくなる名曲。50年代のロックスター、バディ・ホリー、リッチー・バレンス、ビッグ・ボッパーの飛行機事故による死(音楽の死)を題材にしており、後のビートルズやローリングストーンズも歌詞に織り込まれているようでそういったことも知って聴くとまた感慨深いものがあります。8分30秒の大作でシングルAB両面を使ってリリースされたとのことでBillboardのチャートでは AMERICAN PIE PART1&2とあります。ペリー・コモのヒット AND I LOVE YOU SO(73年29位)がマクリーン作だというのも初めて知りました。ジェームス・テーラーのカバーで知っていたバディ・ホリーの EVERYDAY の収録も嬉しい。あと個人的にはリンダ・ロンシュタットのボーカルでなじんでいた IT DOESN'T MATTER ANYMORE (バディ・ホリー59年13位のヒット、ポール・アンカ作)の収録も!ヒット曲としては他にVINCENT/CASTLE IN THE AIR(72年12位)を収録。DREIDEL(21位)、SINCE I DON'T HAVE YOU(23位)、CASTLE IN THE AIRの81年版(36位)も入っているとチャート的には完璧なのですが・・・。今や毎日聴きたくなる愛聴盤になりました。音質は良好。これからオリジナルアルバムを聴いていくのが楽しみです。