ベストアルバムがそのアーチストの最高傑作といえる1枚。ローリング・ストーズのミック・ジャガーがバック・コーラスを務めたことでも知られる「うつろな愛」で大ブレイクしたカーリー。ヒット度ではそれを収録した「ノー・シークレッツ」に劣りますが、カーリーの最高傑作は間違いなくこのベスト・アルバムです。
デビュー作から「人生はいたずら」までのヒット曲を収録した本作は、選曲はもちろん曲順にまで細かい配慮がなされ、1曲目の「幸福のノクターン」から「ダンスに浮かれて」まで、まるで1つの物語のように一気に聞かせます。この完成度の高さは、女性ヴォーカルで言えばキャロル・キングの「つづれおり」に匹敵すると言ったらオーバーでしょうか。
いえ、私にとっては「つづれおり」以上の存在です。収録されている曲は絶妙な配列もあって高級ワインのオンパレードさながら。40分足らずの至福の時があっという間に過ぎていきます。このアルバムを聞いてカーリーを愛しく思わない人がいたら「不感症」と言いたいくらいです。
発売から35年。これまで何度聞いたことでしょうか。いえ、これからも生命ある限り聞き続けると思います。カーリーのアルバムはこれ1枚で十分です。これ以降のヒット曲も聴きたいという欲張りな人には3枚組の「クラウズ・イン・マイ・コーヒー」をお薦めしますが、逆に言うと収録曲が多すぎてピントがずれてしまう欠点があります。カーリーの全てが知りたいという熱心な人以外にはこれ1枚でカーリーの一番おいしい時が味わえること間違いなしと太鼓判を押します。ちなみに私は行き詰まった時や辛い時、悲しい時には必ずと言っていいほどこのアルバムを聞いています。