メイデンのベスト盤が乱発気味のようだが、意図はともかく選曲にはあまり面白みが感じられないものが多い。メイデンというバンドは、基本的にアルバム・アーチストで、シングルヒットが大してない分、どうしてもライブでのリピート数の多い楽曲が自動的にベスト盤にリストアップ(昇格?)されてしまうことになるので、これはいたし方がない事情とも云える。
さて、このアルバムは2枚組みで、ブレイズ時代の「Xファクター」を起点に、デヴューアルバムまで過去にさかのぼるというユニークな構成になっている。選曲には、何でやねん?という楽曲も含まれているが、ここで私が強調したいのは、オフィシャルではこの作品でしか聴けない「ラウンドハウステープ」の貴重なテイクが収録されている点である。私はこのために、この作品をわざわざ買ったぐらいだ。個人的には、正規盤よりこちらのテイクの方が、ギミックもなく、ギターもヴォーカルもむき出しな感じで好きだ。「Xファクター」以降の重厚長大のえせプログレ路線のアルバムも、いかにもスティーヴ・ハリスらしくて憎めず、つい習慣的に聴いてしまうが、何か最近の作品は、初めて聴いたような感じがしない。つまらなくはないが、刺激的ではないことは確かだ。やはりメイデンは、ブルース加入当時(80年代初頭)が、スピード、パワー、エキセントリックさが同居していて、何とも形容し難く素晴らしいのである。