邦題は『怒りの河』。アンソニー・マンの傑作西部劇である。マンの作品はそれほど見ていないが、ジョン・フォードやその他の西部劇にはない魅力がある。一つは、シャープな展開の物語と歯切れの良い演出である。だから、ここでのジェイムズ・スチュワートとアーサー・ケネディの格闘シーンは物足りないと感じられるかも知れないが、そこがいいのである(ただカラー作品であるため、『ウィンチェスター銃'73』が持っていた「暗さ」が薄い気がしたので星4つにした)。それからこれはよく言われることだが、主演のジェームズ・スチュワートの魅力である。ここでは他の作品とは、ひと味もふた味もちがうスチュワートがいる。とにかく怒りの感情に充ちており、都会的な甘い相貌は微塵もないのだ。机を投げ倒して銃を撃つ素早さには目が離せない。脇役陣も豪華で、ロック・ハドソン、ジェイ・C・フリッペン、ジュリア・アダムスなどが顔をそろえる。
マンの西部劇は、すでに日本からは『ウィンチェスター銃'73』『裸の拍車』『ララミーから来た男』『西部の人』『シマロン』がリリースされたが、『遠い国』や『胸に輝く星』など、まだ多くの作品が日本未発売である。この作品は、近日、めでたく日本語字幕版が発売される。ではこの輸入盤の「売り」は何か。3つほどある。1つ目に、価格の安さ。2つ目に、本編前に予告編が入っていること。3つ目に画像の良さである。もちろん画像はDVD画像を見慣れた目からすれば多少は遜色があるけれど、一昔前のビデオソフトにありがちだった肌理の粗さや褪色は見られない。