このケーブルは、レコーディングスタジオなどのプロの現場で使われるものです。
プロ用と聞くと、値段が高くて私たちにはなかなか手に入り難い、というイメージを持っている方もおられるかもしれませんが、このケーブルは単価が非常に安く入手し易いこともあり、一般家庭で使っている方も多くいます。それがために、安易に取り扱われるケースが多いケーブルでもあります。
レビューを拝見しておりましても、このケーブルに対する認識が甘く、正しい使い方をしているとは思えないものが多いです。
プロ用スピーカーケーブルの素晴らしさを体感するには正しい使い方が必要である、と感じました。そこで、正しい使い方を皆さんに知っていただこうと思います。
プロ用スピーカーケーブルというのは、再生された音楽信号を如何に正確にスピーカーに送り込むか、それを唯一、最大の目的として造られています。勿論他の用途のプロ用ケーブルも同様です。
レコーディングの現場では、録音された音源を検証する作業(モニター)があります。音源そのものの音を聞くためには、フラットな周波数特性の機材が必要です。モニターするには、機材に変な個性や色付けがあっては困るわけです。これは昔も今も変わりません。
皆さんは、このケーブルの音が好きだの嫌いだのとコメントされているようですが、良い音がするしないといった次元の低い代物ではないのです。私たち素人如きの音の好みなど超越した、音源を如何に忠実に再現するかというプロの厳しい要求を満たすために造られたスピーカーケーブルなのです。民生用機材のコンセプトとは決定的な違いがあります。オーディオメーカー製のショボイ再生装置では、その粗を曝け出すのが落ちで、プロ用の再生装置(アンプなど)を使って初めてこのケーブルの真の実力を聴くことができる、と申し上げておきます。
このケーブルは長さに対して極めてシビアです。
使う長さに対する最適な太さ(型番)というものがありますので、使用する際には注意が必要です。
2mまでの長さで使うなら8460(本品・太さ18GA)
3〜4mの長さで使うなら少し太目の8470(太さ16GA)
5〜6mの長さで使うならより太目の8473(太さ14GA)
9〜12mの長さで使うなら更に太目の8477(太さ12GA)
といった具合で、どの型番も線材や構造は全く同じです。違うのは芯線の太さのみです。
プロ用スピーカーケーブルは、『アンプとスピーカーとの距離』によって最適な太さ(型番)のものを使うようになっています。ここがポイントです。使う長さに対して型番の選択を誤ると、酷い音になってしまう可能性があります。長さに合った型番を必ず選択して下さい。それが面倒臭いと感じる方、現状の音で十分満足だという方、束ね難いとかデザインが云々といった見てくればかりを気にする方はこのケーブルを使うべきではありません。
8460と8470の比較試聴をしている方がおられました。『アンプとスピーカーとの距離』と太さの関係を検証するには多少有効かもしれませんが、そんなことをするより、最良の音を得るためのセッティングを突き詰めることに時間を使う方が得策です。
小型スピーカーなら8460で十分だというレビューを見かけました。
多くの人が閲覧するインターネット上で、よくわかりもしないのに適当なことを言う方がおられるので非常に困ります。小型スピーカーは細いケーブル、大型スピーカーなら太いケーブルを使えばいいという理屈なのでしょうか?およそナンセンス!
手の平サイズであろうと人の背丈以上あろうと、スピーカー・システムの見かけの大きさなど全く関係ないのです。オーディオの基本を多少でも知っていたら、そんなことは言わないものです。いくら趣味とは言え、もう少し勉強した方がよろしいかと・・・
繰り返しますが、『アンプとスピーカーとの距離』と太さの関係が重要なのです。ここを間違えないで下さい。
セッティングが上手く合いますと、恐ろしいばかりの「それらしい」音になります。生演奏をすぐ側で聴いているかのような錯覚に陥ることさえあります。実際に使ってみた時の私の印象です。これは記録されている音(CDなど)に近いという意味です。記録されているのは生の音です。つまりは生の音に限りなく近いということです。
本品を使ってみたら、音が細身に感じたというというレビューがありました。
型番に最適な長さ以上で使うと、高音がシャープになり過ぎてきつさを感じることがあります。それと同時に低音も物足りなくなります。それが細身に感じるというわけです。
また、音がスッキリし過ぎて物足りないというレビューもありました。
その方は、余程モヤモヤとした篭った音を長い間聴いていたのでしょう。そして、それが良い音だと信じていたのだと思います。
音がスッキリしたと感じるのは、山の頂で、雲が晴れて遠くまで見渡せるようになったのと似て、音の篭りが一掃されたからです。音場がクリアになります。しばらく聴いてみて下さい。今まで聞こえなかった音が聞こえてくるはずです。このCDにはこんな音が記録されていたのか!とビックリすると思います。ストレス無く音楽が聞こえてくるはずです。
いつ頃から始まった風潮なのか、オーディオメーカーが造るのは大蛇のようなケーブルばかりですが、それらに比べると、このシリーズで最も太い8477でも遥かに細いものです。太過ぎるケーブルでは、不透明なフィルター越しに見ると映像が霞んで見えるのと同じように、音が篭ってしまいます。まともな音を出すには、寧ろ細くないとダメです。凝った線材を使ったものや凝ったメッキを施したものも、色付けが酷くなったり、余計な響きが乗ったり、締りの無いブヨブヨに膨らんだ音になります。今考えると、私が過去に使った太いケーブルは、確かにそのような音でした。
こういう音は聴いていて心地良い音と言えるでしょうか?
今一度生演奏に触れることをお勧めします。
生の楽器(エレキであっても)の音や、生の歌声を頭の中にインプットして下さい。その上でお持ちのオーディオ・システムの実力を検証してみて下さい。
安いからといって、このケーブルを侮ってはなりません。金額など全く関係ありません。寧ろ適正価格と言えると思います。何万円もするケーブルが必ずしも良い音がするわけではないのです。目の玉飛び出るような高額な機材は不要ですが、だからと言って単に激安なだけの機材でいいかというと、それも問題です。本気で良い音を聴こうと思えば、やはりそれなりの機材が必要です。オーディオというのはある程度お金のかかる趣味なのです。
このケーブルは、音源の音を色付け無くそのままスピーカーに転送します。そのように造られています。録音の良し悪しや再生装置の粗まで曝け出してしまう可能性さえありますので、覚悟の上でお使い下さい。
このケーブルを使って何も感じないとしたら、使い方を間違えているか、再生装置がショボい(金額の問題ではありません。高額でもショボいものはショボい)か、生の音をわかっていないか、酷い音を聴き続けて耳が麻痺しているかのいずれかだと思います。
本品はプロ用ケーブルです。オーディオに関する正しい知識を持ち合わせていない方が興味本位で安易に取り扱うと、その実力を発揮させることができず、宝の持ち腐れ、無駄な買い物になる可能性が多いにあります。プロ用スピーカーケーブルは正しく使ってこそ、素晴らしい音を体感できます。
生に近い音を追求しようとする方のみ、使っていただきたいと思います。