73年頃からロックを本格的に聴き始めた私にとっては今聴いても興奮が蘇る名盤。多くの人はジェフの最高傑作をブロウ・バイ・ブロウ以降のインスト路線の中に求めるだろうし、私もそれを否定しない。しかし、私にとってジェフはBBA時代が最高だ。ギター、ベース、ドラムのトリオで、強力なリズム陣に対抗するハードなギター演奏を展開するのがたとえジェフの本意ではなかったとしてもだ。
本作を初めて耳にした人はレッド・ツェッペリンを思わせるハード・ロックに驚くだろう。特に「レディー」「迷信」のかっこよさには今でもしびれる。ハードな曲ばかりでなく、バラードも含まれているから、ツェッペリンに例えるならセカンドに近いと言えるかもしれない。特にアコギで始まり華麗なエレキ・ギター・サウンドで終わる「スィート・スィート・サレンダー」はロック・バラードの名曲であり、もっと脚光を浴びて多くのアーティストにとりあげてもらいたいと思う。その後私の音楽の趣味の核が変遷しても、この曲のメロディーの美しさは30年以上頭から離れることはなく、何かの折に口ずさんだりしていた。本作ではその曲をDSDマスタリングした音で楽しめて満足である。しかし、3人(若干ゲスト・ミュージシャンが参加している)の楽器の演奏は素晴らしいが、相対的にヴォーカルが弱いことはスタジオ録音の本作でも否定できない。1曲目では珍しくもジェフ自身がリード・ヴォーカルをとっているぐらいである。しかし、本作はそのような弱点を補って余りあるエネルギーに満ちた作品である。