Youtubeを見ればパンツ一丁のドラムボーカルが、ヨダレ垂らしながら「ユキちゃん大好き!」と叫ぶ。
ググれば、ライブでのお約束「パンティーコール」がこだまする変態バンドの文字が踊る。
すこし冷静になってもう少し調べて試聴すれば、意外に良いメロディの曲。でもどっか変。いいか悪いかは別として、心に何か突き刺さる。
なんだろ、この胸騒ぎ。
主に作詞作曲を担当するゲイリービッチェは、強烈なユニコーンフォロワーだったと聞く。またKing Crimsonなどのプログレバンドにも精通している。そして、日本のポップス・ニューミュージック(筒美京平からユーミンまで)を世界に冠たる音楽だと主張する。しかしライブでのアウトプットはこれまた敬愛するという銀杏ボーイズ然とした、純パンク。
キーボードのユコカティは、ライブでキーボードにエフェクターを噛ませてギュインギュインと歪ませる、足で鍵盤を叩く、キーボードを持ち上げ引きまくる、設置された銅鑼を叩く。これまたアグレッシブなパンク魂を見せるが、実はポップスを本当に理解しているものでしか出せない美しい音符の羅列を、すべての楽曲で惜しげもなく披露している。
日本の音楽界で、変態な音楽を売りとするキワモノならいくらでもいる。
でも、本気でその変態具合を、ポップスに昇華して、日本を牛耳ってやろうとするバンドが今までどれだけいただろうか。
ポップスとロックの融合を掲げた(ビートルズフォロワーの)ロキノン系バンドはゴマンといる。
でもそのなかで本当に個性を発揮して独自の立ち位置を築いた、本当の意味での「開拓者」はいただろうか。
彼らはそれを本気で、全力で、一切の妥協を廃して、全身全霊で、達成しようとチャレンジしている。
「新しい日本の音楽」を定義付けしようとしている。
だからこそ彼らは自分達のことをこう称するのか。
「J-POPテロリスト」
聞く者すべてが許容する音楽ではなく、かつ、聞く者すべての心に傷を残す音楽だ。
傷ついたひとりひとりの心から、この新しい音楽に対する評価がきっと滲み出てくるはずだ。
火傷覚悟で聞いて欲しい、60分の大作。捨て曲なしのこのアルバムに、どうか本気で対峙して欲しい。