ボサ・ノヴァの名曲を並べていますが、全般的な印象としてはジャズ・ヴォーカルの色彩が強かったですね。ニューヨークのメンバーによる演奏ですから当然でしょうが。
「スイングジャーナル・ジャズ・ディスク大賞<ヴォーカル賞(国内部門)>」受賞の通りの質の高さが感じられるアルバムでした。温かで軽やかな平賀マリカの声質とボサ・ノヴァの曲の親和性が感じられ、企画の勝利だと思います。
バックのミュージシャンの技量の素晴らしいことは、1曲目の「Batucada」を聴くだけで分かりました。もう少しヴォーカルにマイクを当てないと埋没します。果敢にポルトガル語を披露していますが、よく聴き取れません。ただラストへ向かうエネルギーの高さ、音楽の一体感、疾走感が心地よく響く演奏でした。いきなり圧倒されました。
「Bridges (Travessia)」がいいですね。いろいろな歌手の歌声で聴いてきましたが、彼女の少し鼻にかかったコケティッシュな声に癒されました。ギル・ゴールドスタインのアレンジが懐かしい感じに仕上がっており、「愛でできた橋だって必ずあるはず」のロマンチックな歌唱はステキでした。
「The Girl From Ipanema」やポルトガル語で歌った「Mais Que Nada」での彼女の伸びやかな声は魅力的です。包み込むような温かい声ですし、艶もあり、何しろ技術的な問題がない見事な歌いっぷりを披露しています。
カルロス・ジョビンの名曲「Wave」をリリカルに歌っています。フォー・ビートの感覚は意外性があって良かったです。
セルジオ・メンデスとブラジル66をリアルタイムで聴いてきた世代ですから、「Like A Lover」「Tristeza」「So Many Stars」の収録は懐かしかったです。一世風靡した曲群ですから、古くからのボサ・ノヴァ・ファンも満足するでしょう。