去年(2010年)の今頃だったろうか。
ネット上で「台湾最高研究機関公認の萌え軍事本」と言ううたい文句で『陽炎少女 丹陽』が話題になった。
現地、台湾ではテレビの話題にまでなったのだと言う。
言うまでもなく『丹陽』とは台湾に譲渡された『雪風』に現地でつけられた名前で、本コミックは『陽炎少女 丹陽』の作者が日本向けに描いているものだ。
主役はもちろん陽炎型駆逐艦八番艦『雪風』(擬人化されてるけど)
先輩の高雄型重巡洋艦一番艦『高雄』
それに同期の陽炎型駆逐艦十二番艦『磯風』および陽炎型駆逐艦十五番艦『野分』とともに隊列を組み、敵と対峙しつつ転戦していくというのが基本的な作品フォーマットなのであろう。
なぜ駆逐隊の先輩が「重巡洋艦の『高雄』なの?」と言う素朴にして本質的な疑問があるが、とりあえずおいておいて・・・この組み合わせは極めて長生きであることは特筆すべきことかもしれない。
さて、この作者の艦船擬人化キャラを見ていて感心したのは、艦船を特徴付ける『記号』の処理がとても上手なことだ。
本物の『雪風』外見に関する大まかな記号と言えば、
12.7cm連装主砲塔 三基 六門
61cm四連装魚雷発射管 二基 八門
艦橋
二本のマスト
二本の煙突
シアーの大きい艦首形状
あたりだが、基本的な擬人化の段階で
二基の主砲塔(バックパックに付いている)
第一煙突(上に同じ)
艦首(脚部装甲の膝当て部分)
アタッチメントとしての四連装魚雷発射管を二基(『陽炎少女 丹陽』では脇に抱える様に見える)
これ以外の記号は事実上無視している割り切りの良さが、艦船擬人化キャラとしての完成度を高めていると言っていいだろう。
別の作者の艦船擬人化キャラを見たときに、記号を入れすぎてどうにもならなくなっているイラストをよく見る。主砲塔の数とか艦橋とか、どうしてもデザインの中に入れたくなるものなのだろうが、それをやると破綻するのは確実だから「あえて入れない」と言う選択は有りだ。
まったくたいしたものだと思う。
この巻ではフル装備で登場しない『大和』も次の巻では見れることだろうが、大東亜戦争をベースにしている以上待ち受けるのは悲劇しかない。
この悲劇の物語を、台湾人の作者がどのように進めていくのか、私も楽しみに待つことにしたい。