復讐を誓うナサニエル。全知全能を望んで悪魔に魂を売り渡したファウストを思わせる熱意で、魔術の教本をむさぼり読みひたすら腕を磨きながら、一方では努めて従順な弟子を装う。強力なサマルカンドのお守り(アミュレット)をラヴレースから盗んで恨みを晴らそうと、力を振り絞って、よわい5000歳の妖霊バーティミアスを呼び出すとき、少年魔術師ナサニエルは、自らの想像を絶するほど危険きわまりない状況に身を投じてしまう――。
このすばらしい小説『The Amulet of Samarkand』(邦題『バーティミアス~サマルカンドの秘宝』)は、イギリスの作家ジョナサン・ストラウドの「バーティミアス3部作」の1作目にあたるもので、バーティミアスの1人称の視点とナサニエルをめぐる3人称の語りを交互に繰り返すかたちでストーリーが進んでいく。このバーティミアスが傑作で、はじけるウィットで大いに笑わせてくれる。本文に収まりきれず脚注にまであふれ出した彼の辛辣で不遜な独白も、まともな読者なら決して読み飛ばしはしないだろう。おしゃれでサスペンスたっぷりの、じつに良くできたすこぶる愉快な1冊。続きを読むのがきっと待ち遠しくなる。(対象年齢:12歳以上)(Karin Snelson, Amazon.com) --このテキストは、 ハードカバー 版に関連付けられています。
登録情報
|
交互に、バーティミアス(日本語訳で妖霊となっています)と
ナサニエル(少年)の視点から書かれています。
バーティミアスの方は、一人称で、ナサニエルのほうは、三人称
になっていて、そういうところも工夫されていて、
新しいかんじがしました。
ただ、バーティミアスのほうは、ちょっぴり皮肉屋でいい性格を
してるのですが、私としては、ナサニエルの性格が好みでは
ありませんでした。野心家というか、プライドが高すぎる
というかんじで・・。
また、魔法の世界そのものも、なんとなく不健康な印象でした。
このへんは、個人の好みの問題なのか、三部作ということで、
変わっていくのかもしれませんが、
ひとまず、読んでみて損はないと思います。
私はあんまりナサニエルが好きになれなかったのですが、それは多分彼が物凄くちゃんと成長過程だから。あんまりイイ奴じゃないどころか、けっこうな自己中で、でもそこらへんに妙に親近感を覚えてしまうこともしばしば。未分化のぐじゃぐじゃした子供のプライドをよく描いていると思います。自分にしてみたら赤ん坊よりまだ若いくらいの我が儘な新米魔術師を醒めた目で見てるバーティミアスがまた魅力的。
これはバーティミアストリロジーの1冊目。そう考えると、たくさんある未消化の部分のせいで、続きが読みたくて仕方なくなる。悲惨な場面も多いけど視覚的でかなり笑えるファンタジー。しかも、くすって笑うんじゃなく、ニヤリ。バーティミアスの語りと三人称語り・バーティミアスの注釈など、多重的・視覚的な作りで飽きさせない。
一方、バーティミアスは経験豊富なデーモンで、wickedではありますが大人の分別を持ってナサニエルを助けます。傲慢なナサニエルはなかなか感謝の気持ちを持ちませんが、最後は約束を守ります。
きっと次回作でもナサニエルが困難に直面した際に直ちにバーティミアスを呼び出すことでしょう。
ここに描かれているのは、大人のデーモンとそれを操ろうとする子どもの魔法使いの成長物語です。また、魔法使いが支配する歪んだ世界が描かれており、次回作が展開する方向も示唆されています。きっと、わくわくドキドキで、納得のいくストーリーが展開していくものと思います。
|
|
|