1990年代に彗星の如く現れて日本のジャズファンを一気にノックダウンした大西順子の、およそ10年ぶりの復帰に歓喜した同志は多いと思う。93年リリースの初リーダー作WOWに始まり、CRUSIN'(94)、VILLAGE VANGUARD(94)、VILLAGE VANGUARD 2(95)、PIANO QUINTET SUITE(95)、PLAY! PIANO PLAY(96)あたりの強烈なタッチと歌心は、本当に素晴らしかった。
復帰第1弾の前作 MUSICAL MOMENTS(09)を聴いた。妙に小難しい作品だった。10年間、色んな文化を吸収したのだろうけど、結果として出来上がった音楽は、あんまり美味しくはなかった。第2弾の本作品はどうか。やっぱり、美味しくない。トータルな舞台音楽か何かであればともかく、ジャズとして聴くには、大袈裟で回りくどい。参加メンバーも、アメリカの超一級が顔を揃えていて、色々と期待はするのだが、ジャズ的にはあまりいい役回りを演じてはいなかった。
前作、本作を通して聴くと、全般に肩にチカラがはいり過ぎて、音楽本来の楽しさが足りないように感じた。また、オーケストレーションに走るのは、彼女の自由だが、もっと伝わるモノがある音楽を演ってほしい。そんな不満が残ってしまう大作だった。昨今の女子ジャズブームに乗っかる必要はないが、次作こそ、元祖女子ジャズの凄みが伝わるストレートな音楽が聴きたいと、心底願っている。
大西順子:piano
ニコラス・ペイトン:trumpet
ジェームス・カーター:tenor and alto saxophones, bass clarinet, flute
ワイクリフ・ゴードン:trombone
レジナルド・ヴィール:bass on 1-3, 5-7
ロドニー・ウィテカー:bass on 1, 3, 5, 7
ハーリン・ライリー:drums
ローランド・ゲレロ:conga on 1
★2010年3月、ニューヨーク、シアー・サウンドにて録音
1. トゥッティ
2. ザ・マザーズ(ホエア・ジョニー・イズ)
3. ザ・スルペニ・オペラ
4. スターダスト
5. メディテーションズ・フォー・ア・ペア・オブ・ワイアー・カッターズ
6. フラミンゴ
7. ザ・ストリート・ビート|52丁目のテーマ
8. メモリーズ・オブ・ユー