93年、英ブリストルの聖ジョージ公会堂にて収録。コアな無伴奏愛好家の間でも評価の高い作品で、演奏録音ともにクオリティは高い。
全編を通じて感じるのは、これが「新大陸のバッハ」であるということ。カザルスやトルトゥリエに代表される格調高いバッハではなく、よりおおらかな人間味があるというか。こういう表現はおそらくヨーヨー・マ(82年の初回録音)あたりが嚆矢と思うが、このカーシュバウムの演奏もたいへんに自由闊達な印象。反面、やや表情過多と感じる部分もあり、そこに奏者の出自を観る気がする。ほぼ同世代で旧大陸的な演奏をする奏者、例えばハインリヒ・シフあたりの演奏と比較されるのも面白いと思う。
なお評点の星四つはこの組曲の音源を比較した場合の相対値。また本作は2004年の再々発でVirgin de Virginのシリーズに入った。メジャーレーベルの強みを活かした価格設定は嬉しい限りだが、同シリーズは突然廃盤となる傾向があるのでご注意。