89年春先のHARD TIMESツアー、ステージからしきりに客席での録音自由化を呼びかける清志郎が印象的だった。
前年のCOVERS騒動は一段落していたものの、怒りを起爆剤にして創作熱に火がついた清志郎に、RCの枠は物足りな過ぎたんだろうか?
詳細なデータがないので断定はできないが、前出のツアーで演奏された1、3、4、9を聴く限り、このアルバムに収録されている同曲よりもかなりタイトにまとまった歌&アレンジだったので、それ以前に録音されたマルチテープだと推測される。
発表を前提に録音されたものではないことは、かなりリラックスした清志郎の歌声を聴けば明らか。
後のツアーに備えて、腕試しを兼ねた草案作り・・といったところだろうか。有り余るパワーをもって。
たとえば1曲目の"I LIKE YOU"だけとって既発曲と聴き比べてみても、チャボの解釈が全く異なることから、RCを解散へと追い込んだ最終レコーディングの呪縛から開放され、本来チャボが描いていたRCの姿をやっと具現化できたようにも見える。
やたら現役バリバリの清志郎の声とは対照的に、寄り添うように包み込むチャボのギター、金子マリのコーラス、ホーンやストリングス等、当時の清志郎からすれば、結果的にまどろっこしいアレンジになってしまっているかもしれない。
「ちょ、ちょっと、あんまり絡みつかないでくれる?」なんて・・。
でも、それでイイんだ。
清志郎の作品は清志郎自身の手を離れて、解釈や創意をされる場所まで辿り着いたのだから。
個人的には、あの『Baby a Go Go』を初めて聴いた時に感じたやるせない"ロックの終わり"みたいな寂しさを、チャボが払拭してくれただけでもう・・ 満足です。