2011年秋の作品。
モルヴェル=トランペットの他にギタリスト、ドラマーの三人編成。
もちろん、全員が他にも複数の楽器を効果的に演奏している。
「深遠」なムードを持つモルヴェルのトランペットは健在だが、
今回のアルバムは、それに加えて特に重いドラム・ビートが印象的。
そのドラム音の重さと多さ、所々現れるディストーション・ギターなどが、
これまでの静謐で幽玄なムードのものが多かった作品群に比べて、
少し違った印象を与えている ― 「よりロック的」と表現するべきか。
モルヴェル作品として初めてこのアルバムを聞いた人が、
TR06"Blue Fandango" TR07"Prince of Calm"等の、
比較的静かに進行する「アンビエント風」な曲を除き、
もし次に2010年作の"HAMADA"を聞けば、印象は異なると思う。
(”HAMADA”にも「ほとんどメタル」という曲も2曲ほど入ってはいるが…。)
「実験」とまでは行かないにしても、
「嗜好を変えてみよう」という試みは、
ミュージシャンにとってごく自然なことで、
ファースト・アルバム以来のファンにとっては、
十分受け入れられる佳作だと言える。