「いらなくなった携帯、あるだろう 冷え切った恋愛、引きとるよ」
この詞を見て、
「ああキリンジだなあ、やっぱこれだなあ、自分はこういう詞を求めて毎回キリンジに金を払ってきたんだなあ」
と改めて思いました。
聞き込んできてわかったのは、兄作詞の曲がこれまでよりもずっと映像的になっているということです。
特に圧倒されるのは「台風一過」で、
「なぎ倒された木に片足をかけたら 村一番の勇者、化け物退治の図」
この歌い出しだけでもう「絵」が浮かんでくる。
もはや短歌の世界。
その後も「骨折れ損の傘」「膨らんだスカートは希望で満ちている」と次々に独自の言葉が、無理なくメロディに乗って流れてくる。
過去のアルバムよりもひとつひとつの言葉が磨き抜かれているような印象を受けました。
それだけに、せっかくの歌詞を聞き取れないまで歪ませている「都市鉱山」は、新鮮というよりも、もったいないと感じてしまう。
エイリアンズやdrifterのように、なんとなく聴いただけで心をもってかれるようなキャッチーな曲が少ないので、慣れないうちはとっつきにくく感じてしまうかもしれません。
タイトルこそ浮力ですが、私にとってはすごく重量感というか、聞きごたえのあるアルバムです。
あわただしい通勤中に適当に流すのではなく、落ち着いた部屋でコーヒーの一杯も用意してじっくり聴く。
そんな音楽との向き合い方もたまにはいいんじゃないでしょうか。