篠山紀信の朝青龍を中心とした大相撲モンゴル巡業の写真は10ページで、2ページの見開きの5枚の写真に短い説明がついたもの:1)テレルジの大地、2)チンギス・ハーンの銅像の前の相撲取り、3)ウランバートルのバス乗客、4)朝青龍の横綱土俵入り、5)遊牧民夫婦の住居内の写真。とくに4)は柏手をまさに打たんとする朝青龍と彼の2歳の長男が露払いの朝赤龍に抱えられて映っており感動的。子供が相撲取りに抱かれているという姿は、もっとも絵になる巡業ならではの相撲の古きよき伝統といえますが、それを横綱土俵入りという最も公式の場で実現した朝青龍のセンスとそれを写真に残した篠山を高く買いたい。短いながらも普段は聞くことのできない朝青龍に対するモンゴルのファンのコメント“子供たちのためにケガをおしてもでサッカーをしてくれた”“モンゴルを外国に広め、国家に貢献する現代の英雄チンギす・ハーン”は貴重。取材の中で篠山は“憶測や情報が飛び交う中で、何を信じればいいのやらと思い悩んでいたが、モンゴルの人々と出会い、話を聞くうちに整理がついた。闘う姿だけを信じてみようと、、、。”という結論にいたる。他人の憶測ではなく、自分の見る真実を信じる写真家のこの姿勢は、同じ写真家の野村誠一の名著“横綱 朝青龍”に通じるものがある。