南カリフォルニアの公立高校。
一匹狼の異端児ブレンダン(ジョゼフ・ゴードン・レビット:JGL)は、死亡したかつての恋人エミリー(エミリー・デ・ラバン)の死の経緯を追うことを決意。
カリフォルニアの陽光の下、学園生活の裏に深く根を張るドラッグ犯罪の世界に飛び込んで行くのだが・・・。
80s−90sにあれほど大量生産された「学園ドラマ」はどこに行った?と思っていたらこんな変化球が突然出現。
ちょっと面食らう内容ですが、監督・脚本のライアン・ジョンソン6年越しのデビュー作ということで熱意が伝わる好篇となっております。
アメリカの若者社会に影を落とすドラッグ問題を扱った作品ですが本作の巧さはこの気の重くなるテーマの物語の切り口をハード・ボイルド・ミステリーとして作り上げた点にあります。
正直言えばミステリーの部分にはそれほどインパクトはないのですがハード・ボイルドタッチを決してパロディ扱いすることなくそのスタイルを
徹底して貫き通すことで意外な程スマートな作品の印象が生まれております。
主人公をサポートする「情報屋」が存在したり、謎めいた女性、感情のコントロールに難ありのマッチョ、裏社会を牛耳るエキセントリックな
悪党などが入り混じって主人公を迷宮に誘い込んで行くあたりも正にハード・ボイルド。
本作の成功の要因は「探偵役」の主人公にJGLを起用した点にあり。
痩身にメガネでちっとも「タフ」には見えない彼が時として圧倒的な暴力を前にしても一歩も引かずにぶつかってゆく様はそのまま青春の鬱屈と孤独な
若者の姿が投影されていて見応えがあります。
近作
(500)日のサマー [DVD]も上出来で、本格的なブレイクも間近ですね。
陰と陽を上手く使い分けたカメラワーク、ハードボイルド映画には不可欠な魅力的な音楽、いづれもちゃんと条件をクリアしております。
「学園ドラマ」でありながら授業風景が皆無(シナリオ段階ではあったそうですが)だったり、ユーモアが少々不足気味など気になる点もありますが
スタイリッシュで異色の青春ハード・ボイルドサスペンスという他に例のない意欲作で贔屓したくなってしまします。