この本は、日本企業が生き残るためには、BOP市場参入が重要であることや、その秘めた可能性、アプローチについて提示しています。
あくまでも、日本企業の経営的立場での分析、だそうです。
ターゲットの設定、リサーチ方法など詳細に書かれていますが、視点は全て、「お金」。これだけでは攻略できません。
BOP市場で成功してきたサービスというのは、単に商品を販売するだけでなく、「生活環境を改善する」という大きな目的も存在していました。
殺菌能力の強い石鹸を販売することで村人は病気になりにくくなる、村に携帯電話が導入されたことで街に出稼ぎに行っている家族と話ができる、村に銀行がなくても携帯電話経由で送金できる、そんな視点から、サービスが導入されてきました。
しかし、この本は、全くそのような観点が抜けています。消費者の年収を基本として、企業が参入できるかどうかを判断しています。
「年収10万円を切る家庭は、ターゲットから外してよい」と言及しているくらいですから・・・
まあ、大手日本企業からしたら、そんな貧困層は相手にしないんでしょうかね。
BOP市場に参入するためには、単にお金儲けだけじゃなくて、「情熱」も必要だと思っています。
BOP向けサービスは、単価が小さかったり(シャンプーの使い切りパッケージでの販売)、手間がかかったり(石鹸を普及するために販売員用の紙芝居を作成)、とにかく日本での販売とは全く異なった販売ルート確保が必要です。村人の生活が良くなって欲しい、みんなの笑顔がみたい、そんな情熱がなければ、絶対に継続しないかと思います。
「BOPビジネスはフィールドスタディから入る」とあるのですが、村人からしたら迷惑このうえないです。
村人のなかには、日雇い労働者も多くいます。時間を割いて情報提供して、ボールペン1本もらって、ビジネスの可能性がなかったら、どうするのでしょう。
「この村では、うちの商品は普及しそうにもないので、さようなら」って言うんでしょうか・・・
村の様子を知りたいのであれば、現地にあるNGOから基本情報を得る、何かの機会にあわせて実施する、そんな風にやってもらいたいものです。企業の好奇心だけでフィールドスタディを行うことだけは、やめてほしいと思います。
なんとなく、日本企業がBOP市場に出遅れているのか、理由がわかった気がします。