ディーラーメカニック (BMWマイスターでもある) によるBMWバイク(4バルブエンジン)の保守・整備の作業を、写真による作業の流れを中心に解説を添えた書籍。BMWバイクのメンテナンス作業を一般ユーザーがイメージできるよう主要なシーンを写真で可視化し、作業の意味や勘所を平易なコトバで述べ、一連の作業を数ページ内で完結させる構成になっている。本書の大部分はそのような作業シーンである。
本書でカバーしている作業は、車載工具に加えて幾つかのハンドツールでできる範囲が中心である。紹介された作業の一つ一つが目的をもって完結しているため、読者は事前に作業内容と順番を確認し、必要なツールがわかるようになっている。作業手順は十分に練られた効率的なもので、失敗しないようにコメントを添えており、よく考えられた構成だと思った。
また、ディーラー工場にしかない設備を活用した作業(ブレーキ整備やコンピューター診断)について紹介されており、確かに興味をひきつけられるが、エンドユーザーが行える作業レベルを越えている点において本書への掲載は疑問も残る。おそらくディーラー整備とエンドユーザ整備との境界線を理解してもらうための工夫であろう。
本書はバイクの取説ではないし、ディーラ工場で使われる整備書でもない。そのため、バイクの故障を修理したいとか、部品を社外品と交換したいとか、電装系に手を加えたいという要求には応えるのは難しいだろう。そういう専門的な情報を求める向きにはディーラーへ「リペア&サービスマニュアル」を請求するほうがよい。あるいはHaynesの「BMW R1200 Service and Repair Manual」(英文) のような整備書寄りに振った書籍を検討されたい。
お勧めしたい読者は、はじめてBMWバイク(4バルブエンジン)を買う人や、日常のメンテナンスを自分でやってみたい人、そして普段はディーラー工場に預けているけどどんな作業をしてるか興味のある人。バッテリーの持ちが悪いとか、乗車ポジションがしっくり来ないといった不満のある人にも勧めたい。
メンテナンスを自分でおこなえば愛車を深く知って、良好な状態に維持することもできる。全てをディーラまかせにしないことで維持費を抑えることにもつながる。また、日頃からパンク修理の手順などを確認しておけば、ツーリング先でのトラブルでも落ち着いて対応できるだろう。また車載工具をグレードアップするためにどんな工具を加えればよいか、その判断材料としても有用と思う。
なお、この本はハードカーバにカラーページを多用した仕上げで高級感を伴うが、それを簡素にして値段も押さえたほうがずっと価値が高まったろう。この点、星1つを落とさざるを得なかった。本書は書棚に飾るよりも、砂ぼこりとオイルで汚れる方がふさわしい。