本書(落合裕介『BLOOD 真剣士将人』第1巻、少年画報社、2011年)は、粗暴なヤンキーが将棋の名人の息子で、父親の借金返済のために闇の賭将棋で勝ち抜いていく物語である。主人公の将人は子供の頃に父親と将棋をしただけで、それ以降は訓練も努力もしていない。その将人がタイトルの『BLOOD』にあるように親の血筋により能力を発揮して勝利する。格差社会を反映した作品である。
対戦相手も過酷な戦場経験で人格が崩壊した米軍兵士など、折り目正しく几帳面な棋士像から乖離している。将棋そのものの描写も少なく、ヤンキー喧嘩漫画のノリである。そのため、将棋ファン向きではない。このままヤンキー喧嘩漫画で終わるのか、ヤンキーとは別世界の将棋の世界の深淵が描かれるのか、注目である。(林田力)