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BIRTH
 
 

BIRTH [大型本]

澁谷 征司
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商品の説明

レビュー

「STUDIO VOICE」、2008/2
震えを生む場所から 子供の頃、澁谷征司は出張から帰った父親の土産話を聞き、 その街の景色を思い描くのが好きだったという。 空想によって生み出された遠い街のイメージ。 実際の景色や場所から切り離された記憶の中の風景は、実は多くの人々の間で共有された、 無駄な書き込みのないイメージでもある。 写真機を構えてからの澁谷の10年間は、 そんなシンプルなイメージの断片を己の写真の中に見出す作業として費やされてきた。 その行為を“写真の写真らしい特性を確認する作業”と言えばそれまでだが、 自己探求でもなく、確実な客体を据えるでもないまま、心の震えだけを頼りに 現実の風景とプリントの中の風景の間を行き来するのは、決して楽な作業ではなかったはずだ。 皆が遠い昔に聴いたシンプルなメロディを紡ぐために、 彼はカメラを覗きながら、幾億もある鍵盤を ひとつひとつ押えてみなければならなかったのだから。 しかしなぜ、そんな困難な作業を絵筆でも楽器でもなく、 カメラという不便な道具を用いて行わなければならなかったのか? 目の前の風景を複写することしかできない写真。 撮る場所は無限に存在するし、シャッターを切る度に それは澁谷自身の新しい記憶の書き込みをまとっていくだろう…… 「写真を自己表現として機能させてはいけないということは早い段階から気付いていたんです。 そのために僕が何を背負って撮影に向かうかといえば、それは自己の世界ではなく、社会だというしかない。 それだけに、自分自身が写真に追いついていないと感じることも多かったのですが」 澁谷が敢えて写真を選び、 作家として10年もの間沈黙せざるを得なかった理由は、 恐らくこの言葉に凝縮されているのだと思う。 彼が写真機を構えるのは、他でもないカメラアイを利用し、 個人ではなく社会として記憶と向かい合うため。 そして何より、複雑に絡み合った記憶の糸を紐解く震えを、 現実と地続きの感覚として、 澁谷自身を含む皆が体感できるものにするためなのだ。 改めて写真集を眺めてみる。 波打ち際より向こう側に誘われて、水に導かれながら野を巡り、 森を巡った我々は、最後に出会う傷ついた老人が奏でる音楽で こちら側へと戻される。 帰る場所はいつも、現実の“いま”という地点でしかない。 記憶に溺れることは許されず、 我々はこの先もただ“いま”から先に向かって歩まなければならないのだ。 だが、その事実がこれほどまでにシンプルに示された時、 歩み続けることの恐怖は自然と薄れていくだろう。 何も怖がることはない。 澁谷の写真はそこにあり、いつでも“いま”までの自分の歩みを、 震えと共にトレースしてくれるのだから。 もちろん出来すぎたストーリーではある。 しかし、10年の沈黙を破って語り出した写真たちが このような形で編まれたのなら、 そんな美しい物語を信じてみてもよいと思わないか。 文=編集部 Text by Studio Vocie

著者について

1975年 横浜生まれ。 1995年 独学で写真をはじめる。 現在、東京在住

登録情報

  • 大型本: 132ページ
  • 出版社: 赤々舎 (2008/1/1)
  • 言語 日本語, 英語
  • ISBN-10: 4903545245
  • ISBN-13: 978-4903545240
  • 発売日: 2008/1/1
  • 商品の寸法: 32.6 x 29.2 x 2.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 429,261位 (本のベストセラーを見る)
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2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
私の宝物 2008/11/26
By 39
形式:大型本
雑誌でポートレートを見かけてからずっとずっと大好きで、
初めて展示会にお邪魔したときにご本人にお会いしました。
手が震える程感動して、当然のようにその場で買って帰りました。
澁谷さんの写真は他の写真家さんにはない、絶対的な力の様なものを感じます。
インパクトやメッセージ性はあまりないのかもしれないけれど、
一度見たときから彼の作り出す世界観、色味、温度、空気が体に焼き付いてはなれません。
大切にシャッターを押している感じがとても素敵です。
この本には言葉にならない感動があります。
絶対におすすめです。
(なか見検索はあまり参考にしない方がいいかもしれないです、もっと凄いんです!)
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形式:大型本
10年の集大成とのことで、その存在は気になってはいたものの、漸く手元に。
自然と人間が交錯する森。森の木々は苔をまとい美しい。
そこで木を切る人たち。ページをめくると違和感すら覚えるが、
作者がどちらの立場にも立たずに、中間的な、主観を排したような視点で捉えていように感じる。
読者にその判断をゆだねているとでも言えようか…。
ぜひともページを開いていただきたい一冊。
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5 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By yB
形式:大型本
人様のことを評価できるような人間ではないのですが、こんな素晴らしい才能にコメントがないのが悔しくてついレビューを書いてしまいました。特に私が気にいったのは木材置き場の写真。水面と空間のコントラストの素晴らしさと風景であって情景となる卓越した感性をこの若い写真家がとらえたことに驚きと称賛を与えたいです。きっともっともっと活躍なされそうな若き写真家だと思いますがこっそりと応援してます。
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