全人類が女性として誕生し、成長した後に、一部の
優秀な女性だけが男性に性転換するという異世界。
必ず男性になるに違いないと言われてい優子が、天文部の
観測会が開かれた夜、学校で何者かに殺害されてしまった。
遺体にはレイプ未遂の痕跡があったのが、男が女に不自由することがあり得ない
この世界で、わざわざ暴行目的で犯行に及んだとは考えにくい。女性による偽装
工作か、さもなければ、異常者の犯行という可能性のほうが高い。
さらにその後、優子の後継者と目されていた
優等生・小百合までもが、殺害されてしまう。
二人を殺害したのは誰なのか? そして、優子が
遺した謎の言葉“BG”とは、何を意味するのか?
「なぜ女なのに、レイプされかけたのか?」
という倒錯的なホワイダニットが強烈な本作。
作者は、その謎を成立させるためだけに、本作の
世界観を設計したと言っても過言ではありません。
一方、フーダニットに関しては、ロジックが弱く、容疑者の“あらため”も不十分
など粗が目に付きますが、そもそも本作は“BG”という言葉に秘められた世界
の謎そのものを解き明かすというSF要素のほうがメインなのだと思われます。
そう考えれば、ミステリの枠組みで、SF的思考実験を
行った、なかなかの快作といえるのではないでしょうか。