彼らが最初出たきた時はちょうど失われた10年が過ぎ去ろうとしていた時だった。
若者にとっては俗に言う就職氷河期という奴だ。
この頃、へヴィなバンドがよく出てきていた。
時代を反映するかのように刹那で退廃的、もしくは怒りや闇を音で表現していた。
前者はシロップ16gがその代表だろう。
そしてザ・バックホーンは後者の代表格だった。
人の心に巣くう闇と社会の軋轢、そしてそこから生まれる希望。
これをファズをかけきった轟音ギターと叫びにも近いヴォーカル。
タフで畳み掛けるようなリズム隊が融合して、バックホーンの音になる。
和的な湿ったメロディ、グランジにも似た怒りの音、菅波栄純が書き出す散文的でありながら切なく、そして青年期特有の闇を持った詩。
キズナソングという楽曲やヘッドフォン・チルドレンというアルバムを経由し、バンド全員の成長もあってか
現在ではそうしたダイレクトな表現ではなく、もっと大きな地平から音を出すようになった。
怒りや絶望をセーブしながらも、表現する術を手にしたとも言えるかもしれない。
それはサニーと罠という楽曲を比較し、聴いてもらえるとよく分かるだろう。
ただひたすら、ひたむきに轟音を掻き鳴らしていたバンドは様々な経験を経て、より包括的なロックンロールを鳴らすバンドへと成長した。
(この辺り、パールジャムとかぶるのだが、筆者だけだろうか。)
そんな青年たちの変遷と、パワフルな演奏がつまったベストアルバムだ。
罠を聞いてファンになった人にも勧められる一枚。