驚くことに、1曲目の2001年に収録された「無伴奏チェロ組曲第1番ト長調~プレリュード」以外は、どの演奏も1959年から60年にかけて収録されたものだということです。
ほぼ半世紀の年月を経てもエヴァー・グリーンの輝きに満ちているのは、バッハの音楽の素晴らしさは勿論ですが、ジャック・ルーシェの目指した音楽がとても不変的な意味合いを持っていたことだと思います。
フランス人のジャズ・ピアニスト、ジャック・ルーシェによるドイツ・バロック音楽の巨匠バッハとアメリカ生まれのジャズの融合。フランス特有のエスプリの効いた軽妙さと明るさが特性として評価されるところです。
演奏当時の1960年当初といえば、モダンジャズ全盛期です。クラシック音楽を素材にジャズに取組んだミュージシャンは沢山いましたが、ジャック・ルーシェほど違和感無く自分自身の音楽として再構成したものは他にありません。
「イタリア協奏曲」の第3楽章や、「主よ,人の望みの喜びよ」、「目ざめよと呼ぶ声あり」「G線上のアリア」「トッカータとフーガ」など、聴きなれた名曲が新しい革衣をまとって登場したように感じます。どれを聴いても見事の一言です。
ベースのピエール・ミシュロ、ドラムのクリスチャン・ギャロという優秀なジャズメンとの息もピッタリで、全世界で愛された「プレイ・バッハ」です。
バッハの音楽構成を生かしたジャズですので、クラシック・ファンに是非聴いて欲しいですね。