まず示しておきたいのが、このベストアルバムは所属事務所とレコード会社が決めたリリースであり、メンバー側はほぼタッチしていないという点である。sword移籍後からのリード曲とアルバムから数曲、そして新曲「闇花」が収録されている。傑作選、というよりはシングルのまとめ的な要素の方が強い(むしろ後者が本作の主旨であろう)ため、これまでのファンにはあまり必要のないアルバムかもしれない。ただ、こちらの初回版にはPV集が付いているので、過去のFlashbackに並んで 歴代PVをまとめて見るのに便利である。闇花に関してはジュイ(vo.)が手術前に録った曲となる。シュン(gt.)作曲のどこかレトロな雰囲気も漂うジャジーなサウンドに、艶やかなメロディーが映えている。Aメロからサビへかけての流れるような展開の仕方が美しく、晩年のヴィドールらしい構成だ。今回のシュンのスタイルは、シングル「Focus」のc/wである「Club.B」とも通ずるところがあるだろう。その他収録曲については既出なので割愛する。全てジュイ作曲であることが散々指摘されているが、これに関しては致し方ないとしか言い様があるまい。ファンの心を掴む曲はラメ(ba.)作曲が多いのは事実だが、純粋に曲の流れを楽しむのにジュイの曲では支障があるわけではないので、これからヴィドールに触れようと思っている人には是非 先入観を持たずに聴いてもらいたいと思う。シングル曲を手っ取り早く網羅したい場合にはこのBEST、またヴィドールの体系を知りたい人には過去にリリースしたProposalを合わせて聴くのをオススメする。九年間走り続けてきたヴィドール。様々なしがらみによって、最後は突っ掛かりの残る残念な結果に終わってしまったが、彼らの生み出してきた多彩な曲の数々はどれも素晴らしいものであったと思う。活動休止からの解散、はからずもバンドコンセプトそのままになってしまった彼ら、そして結果的な最後のリリースがこのBESTになってしまったこと。全てが残念でならないし、ほとんどのファンが受け入れられないだろう。しかしリーダーラメが語ったように、いつの日か彼らの気持ちがもう一度ひとつになったとき、ヴィドールはこのシーンに必ず帰ってくると信じたい。