”非連続思考”というキーワードが脳の食欲をそそりましたが、原題は”THE FORGOTTEN HALF OF CHANGE" ですから、日本マーケットをにらんだネーミングに見事に釣り上げられたともいえます BCGの汎用的な思考法の話ではないでしょうし、思考の”非連続性”に焦点を絞った話でもありません。(ということで、タイトルと内容のギャップに憤慨する人もいる可能性はあります)きらめくようなオリジナルコンテンツが前面にでるわけではなく、どれもどこかで一度勉強した内容の集積なのですが、論を補強する実例や引用に厚みを感じます。
期待していた骨太の新奇なエッジは感じませんでしたが、骨をとりかこむ血肉の教養の厚みは楽しめました。不惑を過ぎてようやく基本的な教養のなさに気づいたところだからこそ楽しく思えたのかもしれません はやりの”思考法”本と考えて見た場合の評価もあるでしょうが、今回の私は「BCGにも在籍したある真摯なビジネスマンが、ビジネスのキャリアの中で時間をかけて身につけた経験と教養で、少しずつ思考を強化していったらいつかしら尊敬すべき思考のマイスターになっていました」というバイオグラフィーとして評価しました。
”個体発生は系統発生を再現する”のが本当だとすると、個人が思考能力を獲得するには、一度は思考の歴史を再体験する必要があるのかもしれません。そう解釈すると、人並みの才能しかない私のようなものでも地道に積み重ねていけば非連続な境地にたどり着けるかもしれないという期待がもたせてくれます。