95年発表。ミニ・アルバム『VROOM』発表後のアルゼンチンでのライヴを収録したライヴ盤。当地でのブートレッグ対策のための発表とのことだったが、それよりも商魂逞しさの方を強く感じる。次作にあたる『THRAK』のリハーサルを兼ねた公演ということで、手探りでのやや荒々しい部分が感じられるが、そこがフレッシュな演奏に結び付いており、膨大なクリムゾンのライヴ音源の中でも最も魅力的なものの一つになっていると思う。特筆すべきことは新曲ではなく、80年代の楽曲の素晴しさだろう。エスニック臭が強いエキセントリックな楽曲もこの時代に入れば恐ろしく自然であり、あれほど違和感のあったブリューのヴォーカルのうまさも非常に良く分かる。70年代クリムゾンの「レッド」にしても曲の雰囲気に似つかわないほど若々しく、メンバーの力量以上に前向きさを感じさせる演奏になっている。(個人的にはこのバージョンがベストの出来。) 1−1.はバタバタと鳴り響く未整理なドラムスがかえって強い印象を残す。彼らのスタジオ作では削ぎ落とせれて欠けている何かが、この冒頭一曲からも十分に伝わって来る。正式なスタジオ・アルバムも高い完成度を誇るのは間違いないが、この布陣でのクリムゾンはこの時点が間違いなくベスト。『THRAK』は丁寧に作ったお墓としか思えない。