2011年は東日本大震災があった事を外しても、日本文化に貢献した偉大な人が亡くなった凶年として記録に残るだろう。
「コント55号」の坂上二郎氏、ブルース&ロックの原田芳雄氏・柳ジョージ氏、そしてこのジョー山中氏もそうだった。
1946年、横浜生まれ。 7人兄弟で一人だけ肌の色が違ったそうだ。(朝日新聞「追憶」記事より)
海に囲まれて国境線を意識しない国民性のせいか、バブル時代になっても「日本は単一民族国家だ」と無神経なことを言う奴が操ってきた国だけに、肌の色だけで散々な苦労をして来た事は想像に難くない。 それでも、持ち前の明るさがあったからこそ多くの人が慕っていた。
「公式メモリアル・ベスト」を謳っているだけに、ご家族によるその選曲は見事である。
日本よりもカナダ・アメリカでブレイクしたフラワー・トラヴェリン・バンドの「SATORI Part II」「HOUSE OF RISING SUN(“朝日のあたる家”という邦題が有名)」、大ヒットした映画「人間の証明」のテーマ(大野雄二氏編曲のオリジナル・バージョン)、映画『戦国自衛隊』主題歌「ララバイ・オブ・ユー」('96年の30th version)、アニメ映画『あしたのジョー2』の主題歌「青春の終章」、'80年代から始まった"REGGAE VIBRATION"シリーズなど、ジョー氏の輝かしいキャリアの断片が収められている。
しかし自分にとっていちばん嬉しいのは、世界に向かって長年英語で歌ってきた彼がおそらく初めて日本語のアルバムを意識したと思われる'81年の『魂』(残念ながら未CD化)から、松田優作に提供した「戦い続ける男達の詩」が収められている事だ。 ここにはクレジットされていないが編曲が深町純氏であり、パワフルなピアノも聴かせてくれている。 中途半端な終わり方は「Life goes on(人生は続いてゆく)」の思いがあって、あえてそうしたと思われる。
選曲は5つ星の満点だけど、ひとつだけ不満がある。 ジョー山中氏のご長男・山中ひかり氏のコメントと内田裕也氏の弔辞が収録されているが、各曲の歌詞カードがないのだ。 江戸屋レコードに問い合わせたらやはりそういう構成との事だ。