本作のオリジナル「戦国大合戦」も観ているが、基本的にアニメーションと実写という差がある時点で、同じものと考えない方が良いと思う。野原しんのすけだからこそ説得力があったタイムスリップであり、今回の真一やランドクルーザーに乗った家族までが「実写」で現れると、これはもう「クレしん」ではなく「戦国自衛隊」に近い。ゆえに、山崎監督がこの時代劇をどのように撮るのかが最大のポイントだったが、VFXも目立たずに使われており、合戦場面の迫力も含めて良い出来だったのではないか。悪役の大沢たかおが余裕のある演技だったのに比べて、草なぎは少し固かった気もするが、新垣結衣のお姫様は可憐でよかった(笑)。武井証は「いま、会いにゆきます」で我々の涙を絞り取った名子役だが、しばらく見ないうちに大きくなったものだ。決してしんのすけの代わりではなく、真一のキャラを躍動的に演じており好感だった。それと黒澤組の常連だった香川京子と油井昌由樹を配しているのが効いている。これは恐らく山崎監督たっての希望だったと思うが、特に香川京子の立ち振る舞いは完璧だった。黒澤作品はじめ、若かりし頃はちょうど新垣が演じているような役が多かった女優だ。シーンのほとんどを共にした新垣も生涯の宝物になったと思う。メイキングを観ると、撮影だけで3カ月、それも九州から山梨・千葉までの大移動に加えて、順撮りではなかったので、俳優たちもテンションの維持が大変だったのではないか。メイキングがSD収録なのは残念だったが、20分弱に凝縮されていて、これはこれでよかった。最近、ムダに長いものも多いからね。ちなみに製作委員会に電通とADKが並んでいるのも珍しかった。「クレしん」はもともとADKの扱いだが、このスケールだとスポンサー集めには電通の組織力も必要だった、ということだろう。星は4つです。