原田芳雄さんが亡くなった、、、。ショックだ、とてつもなく悲しい。
数少ない映画の世界をメイン・フィールドに活躍されていた方だった。「週刊現代」で闘病中の原田さんを讃える特集が組まれたり、最新作「大鹿村騒動記」の舞台挨拶でのすっかり痩せ細った姿を見ても、絶対に不死鳥の如く甦ってこられるはずと信じていた。
原田さんを初めて知ったのはTVドラマ「2丁目3番地」、11歳の時である。当時は、やけに突っ張ってカッコつけたオッサンだなとませたガキのひとりとして思っていた。でも、その後、日本映画を貪るように観始めるうちに、無頼派アウトローの中の野性味とそこはかとない色気に魅せられてしまった。以来、熱心なファンと言う訳ではないが、絶えず気になる俳優さんだった。
本書は82年に刊行された。逝去の報に接し、思わず倉庫の奥で眠っていたものを引っ張り出し、久しぶりにパラパラと読み返してみた。
やはりずっと以前に亡くなっている“薔薇のトミー”こと夏文彦編による本書は、その生い立ちから、俳優座養成所時代、映画デビューから82年当時に至るまでの映画、ブルース、生き方、嗜好への拘りが、ロングインタビュー形式で語られる。
伝説の「ムービー・マガジン」誌にかって収録された高平哲郎によるインタビューも転載されており、沢田幸弘の「反逆のメロディー」で知った映画への向き合い方、憧れの渡哲也との共演、黒木和雄との出逢いと新宿ゴールデン街映画と呼ばれた「竜馬暗殺」の思い出に仙人・鈴木清順の演出論にも触れられる。
松田優作、桃井かおり、大原麗子、大楠道代、タモリらとの対談も挟められ、読んでいて楽しいが、おっと思ったのが、当時話題になった「レイジング・ブル」で自身のウエイトを20kgも上げて演じたロバート・デ・ニ―ロの演技アプローチについて懐疑的、と言うかはっきり否定的な発言をされている処で、いかにも、自然体演技の原田さんらしいなぁ。
数えてみた。当方がアマゾンに書き込んだ日本映画のレビューで原田さんが出演していた作品数は、ナレーションの「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」も含めれば、なんと15本にも及ぶ。別に意識して選んでいた訳ではなく、いかに原田さんが(レビューを書き込ませたくなるような)面白い映画たちに噛んでこられたのかと思う。
「ツィゴイネルワイゼン」、「竜馬暗殺」、「われに撃つ用意あり」、「生きてるうちが花なのよ、党宣言」、「歩けども歩けども」、「友よ静かに瞑れ」、、、。どれも魅力溢れるものばかりだが(そして、モチロン、これ以外にも、「どついたるねん」やら「祭りの準備」やら「KT」やら「父と暮らせば」やらがあるのだが)、でも、例えば「ビリィ・ザ・キッドの新しい夜明け」でのハリー・キャラハン役!のようなセルフパロディを嬉々として演じられていたユーモアの分かる俳優さんでもあった。
映画館の暗闇を愛し、100本もの映画に出演されていたその生き様を、映画ファンの端くれとして、本当に敬意を表し感謝したい。
かって優作の突然の死に、“なんじゃ、こりゃ”と弔辞で結んだ原田さん、でも、最後まで現役にして堂々の主役、かけがえのない仲間たちとの仕事に、僭越ながら、“まるで映画みたいじゃないですか!格好良いですね”とお声を掛けたい。
〜“どんな状況になろうと、遊びだけは手離しちゃいけない”〜 本書の末尾で結ばれたこの言葉を噛みしめつつ。
謹んで、ご冥福をお祈り致します。