全38テイク(曲としては41曲)からなるこのコンプリート盤は、1994年の6月3日〜5日の3日間、ニューヨークのブルーノートで行われたトリオのライヴを全て収録したもの。
全く驚いてしまうのは、この3日間のライヴで演奏した41曲のうち、ダブりはPartners、Things Ain't What They Used to Beの2曲のみで、あとは全て違う曲であるという事実。
普通、バンドにもレパートリーというものがあって、このようなライヴを3日間で6セットもやると、少なくともいくつかは同じ曲が出てくるはず。
多分そのほうが演奏者も楽だし、馴染みの曲をやれば客も喜ぶ。
スタンダード・ナンバーを共通語としているところが、そこがこのトリオの凄いところなんだろうな。
場を提供したブルーノートの徹底振りも見事で、このライヴに関しては事前に禁煙が伝えられ、演奏10分前からは飲食物のサービスも中断されたのだとか。
緊張感も高まるというもの。
キースのコンサートには度々足を運んでいるが、雰囲気はジャズのコンサートというより、クラシックそのもの。
咳払いさえはばかられる。
そういう背景から、この録音には、ビル・エヴァンスのトリオが1961年にヴィレッジ・ヴァンガードで演ったような雰囲気は微塵もない(笑)。
バラード好きとしては、"Skylark"や"Everything Happens to Me"、"My Romance"がたまらない。
このトリオをブルーノートのようなホールじゃないところで聴けたアメリカ人達が羨ましい限りだ。