レンタル屋でこのアルバムを衝動借りをしたのがフーバーの音楽との邂逅でした。
丁度メジャーレーベル音楽の浅薄さに辟易しており、掘り出し物は無いかとインディーズシーンを闇雲に漁っていた時期だったと思います。名前だけちらっと聞いたことがあるだけの半インディーズバンドなのにレンタル屋のメジャー新譜コーナーに何故か屹立しており、その立ち位置の不自然さに引かれて借りました。
(おそらくそのレンタル屋にフーバーフリークがいたと思われる…。)
シンプルなサウンド構成にも関わらず弾けるような立体的な音を奏で、そこにヴォーカルの弦楽器のような感情表現をする声が重なり絶妙なバランスを保つ妙。
しかも歌詞は純文学的に私世界を再構築しようという意思を自然体で表現したかのような内容。絶頂期の「かせきさいだぁ氏」の作品を彷彿とさせるような、あるいはそれからさらに意図的な文学要素を排除してよりナチュラルに成し遂げたような素晴らしい作品です。まさにArtです。才能が爆発しています。
この作品を含めフーバーの作品はすべて購入していますが、ヴォーカルの正美の才能に依存したようなバンドのため、彼女の状態によって作品の完成度にややムラはあるようです。ただし、少なくともこの「Art.No.5」に関して言えば最高の出来だと断言できます。
ひとつ残念なのは、聴く側に聴く為の準備が出来ていない可能性があることです。
つまりある程度の文学的下地すら持ち合わせることなく、かつ、自らの感覚を超越した事象に対して常識に捉われない態度で評価するという準備が出来ていない場合、「何言ってんのこの人たち???わけわかんねぇ???」という感じの評価しか得られない可能性があると思われます。そして、おそらくこの事が奇才正美がメジャーで活躍することを阻む要因だと思います。本当にすごい才能だと思うので残念です。
ただ、それが正美の良さであり、表現の要だと思います。
世間一般が素直に受け止められるようなつまらないヒットソングは他のどうでもいいような人たちに任せて、これからもマジョリティーに対して阿らない態度で自らの音楽を突き進んでいただきたいものです。
というわけで、気に入る人もそれなりにいるはずなので、一度でいいから聴いてやって下さい。よろしくお願いします。