トム・ダウドがプロデュースしていますが、プロコム・ハルムのゲーリー・ブレッカーはじめ、バックをイギリスのミュージシャンで固めており、洗練された円熟のブリティッシュ・ブルースといった趣きのアルバムです。個人的にも、初めてリアル・タイムで接したクラプトンのアルバムなので、深い思い入れがあります。アナログではライナーで桑田佳祐さんの、「エリックさん」への愛情あふれる思い出話も読むことができます。当時、爆発的なセールスを記録したといった記憶はありませんが、「ブロウ・ウィンド・ブロウ」で初めてマディ・ウォーターズの名前を目にし、アルバート・リーのプレイをもっと聞きたくてエミルー・ハリスのアルバムに手を出して、おそらく全国にあまた存在する、「すべてクラプトンから始まりました」的展開のひとつの典型のような一枚です。ただ、正直クリームのあとにこのアルバムを聴くと、「いつになったら思いっきりギターが聞けるのか、最後か。」という思いを味わうことになるでしょうが、キャッチーで小粒な楽曲が揃っていますので、40分弱の収録時間とも相まって、あっという間の一枚です。8曲目の「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」は、自分としてはクラプトンの5本(いや、10本かな)の指に入る名曲で、この曲だけではないのですが、このあともしダック・レコードなんかを立ち上げたりせず、フィル・コリンズとも出会わなかったら、このアルバムを踏襲したようなアルバムが続き、もっとマイナーなミュージシャンになっていたかもしれませんが、そうすればいまでも昔のように頻繁にクラプトンを聞いていたような気がします。