随分前から、この本のことは知っていながら、読まないできました。
今回原書で読み、約100年前の本のため、古い言い回しがあったり、言葉も難しめで、やはり子供向けというよりは大人向けの本だと思います。
この本の第一の特徴は、アンの生き生きとした語りで、本のリズムをつくり、豊かなものにしている点だと思います。それ故、アンの成長に従って、アンがそれ程饒舌ではなくなってゆくところで、感慨深い思いをさせられました。
改めて、私の読書の中でこれほど感動的に物語を楽しんだ作品は、少なかったと思います。アンの語りは、決して独りよがりなものではなく、彼女なりの考えを元に話されています。極端な言い方をすると、マシューたちに引き取られなくても、違った場所で彼女は、自分の生い立ちを糧にした、前向きな姿勢で人生を切り開いたのではないか、と思うほどです。
アンはしばしば、マリラと対立しますが、彼女の語りのほとんどが、マリラに向けられていると気づくとき、この物語で、如何にアンが知らず知らずに、マリラから様々なことを学び、逆にマリラのアンに対する愛情が深まってゆくかを知らされます。
寡黙で、人付き合いがへたなマシューが、初めてアンに会ったときから、物語の最後まで、如何にアンに深い愛情を注ぎ続けていたかも、この物語の大きな魅力です。アンに他の子と同じ洋服を買ってあげたくて街へ出かけるのに、砂糖を山のように買ってきてしまう場面は、滑稽ではありますが、言いようのない切なさを感じずにはいられませんでした。
物語の最後で、成長したアンが(背が伸び、一層知的になったアン)が、マシューとマリラに見せる愛情、そして彼女が選択する人生は、駆けるように読んでいった物語にふさわしい、結末を見せます。
アンの成長に涙し、笑ったこの物語を読んだことを、心から嬉しく思います。