虚数(ルート(−1))の概念が生まれた経緯から虚数(複素数)の用途に至るまでを概観する数学史の本です。数学公式集(岩波書店)の有名公式を導出するための基礎知識を面白く学べます。
【主要目次】1.虚数の謎、2.ルート(−1)を幾何学的に理解しようとする初めての試み、3.謎の解明に向けて、4.複素数の用途、5.複素数のさらなる用途、6.数学の鬼才たち、7.19世紀、コーシー、複素関数論の始まり
普通の教科書ではx^2+1=0の解を持たせるためにルート(−1)を定義した、という説明がなされますが、実際には3次方程式の解法において必要になったから已む無く導入されたのだ、という処から話がスタートします。そこから基本的な題材(オイラーの公式)だけでなく、純粋数学ネタ(例:ζ関数、リーマン仮説)から応用数学ネタ(例:Γ関数、複素積分)まで、およそ歴史の流れに沿って説明されています。理工系大学の物理数学の副読本としてオススメしたいところです。i^i(iのi乗)や1^π(1のπ乗)を(計算したくても)計算できない大学生・社会人は必読でしょう。(i^iは実数で1^πは複素数というのは痛快ですよね (^-^)v)
本書を読み通すと、虚数なしではこの世の中が考えられない程に、虚数がリアルに感じられることでしょう。(第4章以降は読み応え(歯応え)アリ)
惜しむらくは、誤植が散見されることです。自然対数"ln"を"1n"と書かれていたり、指数の肩が間違っていたり、ということが結構あります。これだけでなく、de Broglie (ド・ブロイ)を"ド・ブログリ"と記されているのには絶句しました。監修者・編集者にはキチンと仕事してほしいということで★を減らします。