今後のR&Bシーンに新しいスタンダードとして根付いてゆくであろう有名なナンバーですね。クラブコンシャスな音のクールさに、メロディーとヴォーカルのソフトな肌触りは、爽やかなセンチメンタル。センチメンタルといっても従来日本人が好む泣かせのR&B旋律で、という感覚とは違い、極めて透明です。
うたの中にすごく涼しい空気(サウンドも詞も)が広がっているのですが、その澄み方の中でことばを品よく、坦々としたテンポで映してみせ、その先に若い切なさを伝えてくる手法は、非常に斬新です。勿論従来にも切なさを切なくうたわない見せ方はありましたが、必ず他のどこかで盛り上げてみたり、哀しさを縁取る要素が声か音かテンポにありました。でもこの曲は歌声も旋律もテンポも全く切なくうたうことはしません。むしろ心地よいくらいに音符は奏でます。でもそんな爽やかさに、初めて生まれる透明な切なさの感覚が確かにあるのです。これはR&Bと日本人の感覚が混ざって齎された新しいうたの皮膚感覚だと思います。
因みに“防波堤に寝そべったら、夜空に落ちそうになった”とはじまる歌詞など、佐藤竹善は大絶賛しており、1年に1曲ビビッとくる音楽があるがこの年はこれだったと述懐しています。
尚、ジャケットはもっとブルーの発色が明るいですよ。