70年代末期のころ、ちょっとおしゃれな雰囲気の女性ボーカルに注目が集まったことがあって、カーラもその文脈で売り出されたのだけれど、優れたソングライターだったカーラは、個性際立つ旋律でもって、僕たちを魅了したのだった。
カーラの曲は都会的な物憂い雰囲気にも聞こえるが、その実、アイリッシュの音楽、さらにはケルト音楽にまでさかのぼる音階をまじえていて、それがなんとも不思議な哀愁を帯びている。とりわけ、冒頭の"Someone to lay down besides me", そして"Restless nights"、いま聞き返してみても新鮮な魅力にあふれた旋律だ。
そして末尾に収録されたトラディショナルの名曲 "The water is wide"の静かな美しさ、これこそがカーラの歌の根源にあるものだ。
The water is wide, I can't cross o'er
And neither have I wings to fly
Give me a boat that can carry two
And both shall row, my love and I
流れは広く 渡るすべもない
空を飛ぶ翼もない
ふたりを運ぶ舟があったなら
愛する人と私 ふたりで漕ぐ舟が