大学時代にどんなテーマの小説が好きかと友人に問われて「兄妹近親相姦って好きなのよね〜」とヨタを言ったら本書を是非にと薦められました。タイトルが気に入ってすぐに購入してみたのですが、忘れ難い小説です。何故ってこんなに摩訶不思議で難解な英語は見たことがない。どの文章もにわかには意味が頭にやって来ない。「ワタシは突然英語が分からなくなったのだろーか!?」と同じ文を何度も読み直し、途中から「よく分かんなくてもいーや」と開き直り、「が・頑張れば近親相姦が出てくるのね!」と汚れたココロで低次元のエネルギーをかき集めて読み続けました。
しかしながら、読了して「確かにそれらしいコトは出てきたのかな…」とボンヤリしたイメージばかり(トホホ)。こう文章が難解だと、自分がどれくらいきちんと筋を追えたのかいまひとつ自信がない。後に残ったのはイメージとか色彩とか空気のようなものばかりです。アメリカ南部の空気でしょうか。この空気は大変に惹きつけられるものがありますが…。テネシー・ウィリアムスは昔からよく読んでいて、「アメリカでも南部の作家とは合うのかな」という期待もあったのですが、フォークナーとなると、味わうにも障壁が高いですね。
しかし全体を満たすこの悲しみは何処から来ているのでしょう。フォークナーについては全く知らないので安易なコトは言えませんが、明治維新で幕府方についた先祖を持つ日本人の学者さんにフォークナーが「貴方なら私の気持ちが分かるだろう」と言ったというエピソードを遠い昔に読んだ記憶があるのですが…。
ともあれ、英文学部の学生さんとか英語で文学を読むのが趣味だとかフォークナーが大好きだとか、特別な意欲がある方でない限り、こういう作品は優れた翻訳で読んだ方がいいのではなかろうか、と私は愚考します。