LOVE PSYCHEDELICO2年半ぶりのニュー・アルバム「ABBOT KINNEY」。
今までの作品と比べると、勝負作!という感じではなく、それよりももっと自然体で鳴らされているような
より自由な解釈で奏でられている幸福感の強いアルバムである。珍しくシングルも切っていない。
ちなみに今年でデビュー10周年。
大ブレイクの時期を経て、今は落ち着いた温度で音楽を鳴らせているように感じられて、それが如実に出たようにも思える、そんなアルバム。
全体的にアコースティック・サウンドを活かした今作、
ここ数作で見られたロックへの傾倒はほぼなくなっており、サウンドアプローチが一新されています。
ロックタイプの曲ですらガッツリとしたロックサウンドではなく、アルバムの構成を考えてアレンジに一工夫があって
もしかして人によっては物足りなさを感じる可能性もなくはないですが
一曲一曲のソングライティング、メロディーの良さについてはむしろ研ぎ澄まされている印象で、
それを考えると裸一貫で勝負しているアルバムともいえるかも。素材の味を出来るだけそのまま活かしているというか。
中でも音数少なめに深い悲しみが歌われる「I'm done」は、今までで最もシンプルな楽曲とも云えるかもしれない。
個々の楽曲については、ハッピーな曲からクールな曲までバリエーションは幅広く
特に表題曲の「ABBOT KINNEY」はデビュー10年目とは思えぬフレッシュさが存分に光る名曲で、
誕生日を祝った「Happy Birthday」はシンプルだけど愛情の込められた詞が印象的、
KUMIの歌声がいつもより力強く聴こえる伸びやかな「Bring down the Orion」などがお気に入り。もちろん、その他の楽曲も良い。
これまでは今から傑作を聴くぞ!という、聴き手にとってもある種のプレッシャーのようなものがあったと思うんだけど
今作ではそういう気負いを一切取っ払って、非常に素直に楽しめる、持ち歩きたくなるようなアルバムに仕上がったと思う。
これはこれで良い。