彼女のアルバムは、後々谷山浩子や崎谷健次郎など、AOR、バラード系クリエイターとタッグを組んで、独特の音楽世界を打ち出してきたと思うが、本盤は処女作という事もありそれ以前の作風である純粋にアイドル歌謡的な楽曲を楽しめます。バラードから白い炎のような激しい曲もあり、感傷ロマンスのような異国情緒溢れる曲もあり。筒美、玉置、来生等クリエイターも一流を揃えている。
後年「MAY」のようなしっとりとしたバラードこそが、彼女の地盤と個性を音楽で確立したとは思うが、私個人的には、「白い炎」のような激しいアイドル歌謡調の曲が好きだったりする。しかし、前述の通り、後に彼女の音楽世界をクリエイター陣と連動して、築き上げたためにこのような純然なアイドル歌謡曲を聞く事ができるのは、わずかキャリア初期のみにすぎなったかのは、少々残念でもあった。本盤はそのような点で、ある意味まだ彼女の音楽志向が定まっていない、試行錯誤時期が故に、トータルバランスの優れたアイドル歌謡アルバムとして純粋に楽しめる思わぬ特典がある。
また、音楽という側面以外にも彼女の年齢という点で、この時代でしか聴けない要素もある。つまり「卒業」に代表される、学園にまつわる物語を内包する楽曲群。たとえば「卒業」「青春」「上級生」である。「卒業」によって、スクールソング歌手としてのイメージを植え付けたが、「卒業」「初恋」「情熱」が「松本三部作」だとするなら、前述三作は「学園三部作」と言ったところだろう。菊池の「卒業」と斉藤の「卒業」毛色はかなり異なるが、後者の場合女優色が強い部分に加え、衝撃のデビュー曲という事で、前者以上のインパクトがあったのは想像に難くない。
特に、筒美氏による「青春」は、シングルカットしてもよいのではないかという位完成度は高いと思います。