ARとはAugmented Realityの略。日本語では拡張現実と訳される。
ヘッドマウントディスプレイや携帯電話の画面を通じて、現実にあたかもオーバーレイするがようにリアルタイムに情報を写し出すことで、現実を情報面から拡張する技術を総称したことば。今後大きな市場を生み出す可能性のある技術として一部では話題らしい。
このAR自体は前から知っていた。よく話題になるものの、結局どう使っていいのかが分からず実現に到ったことはない。なんとなくうさんくさい技術のように感じていたが、今回本書のような入門書が出たことで、技術の概要を改めて学び直すために手にとってみた。
本書を知って知ったことはARにも二種類があるということ。現実の中に情報を写していくのに、特異点マーカーを使って、現実内の位置を判別する方法と、GPSや各種センサーを使って、自分のいる位置を把握する方法があるらしい。そして前者はすでに涸れた技術で、今後大きな可能性をもっているのは後者ということらしい。私がこれまで触れていたのは前者のほうの技術でしかなかったが、なるほど、後者であれば、見る場所ごとに発信する情報をかえてみたり、と大きな可能性がありそうである。
とはいえ、本書で紹介されているソリューションは玉石混交で、とにかくARというテーマのものと、急いで寄せ集めた本、という印象は否めなかった。またいろいろな事例があるが、新しい技術に不可欠なワクワク感が感じられるものは実に少なかった。はたして、現実に情報を投影するということが、本当に人間にとって必要なことなのか、その辺どうも疑問に思ってしまうのだ。本書はあくまでも技術サイドからの提案ということで、紹介されている使用方法はセンスを感じられない月並みなものばかりであった。まあ技術が広まれば、いろいろと面白い使い方も出てくると思うし、それはまた異分野からの提案が必要になることでもあろう。
過渡的な技術ゆえ、今しか読む価値のない本であろう。ただ今これを読むということは、それなりに意味のあることなのかもしれない。