この作品には人間の根源的な欲求が見事に描かれている。
恵まれた環境に育つわれわれ日本人からの立場から考えると
まったく無と思われる状況から自分たちの置かれる立場を認識し、
世代を超えた共通意識を持たせる伝達手段として歌を編み出し、
そこから闘う意志へと昇華させ、そして結実させたその経緯が見事に描かれている。
言葉で説明するとこのような稚拙なものになるが、
まず重要なことは、この作品を理解するためには知識はほとんど必要としないということ。
「南アフリカで人種隔離政策(アパルトヘイト)という黒人の人々にとって大変な政策が存在した」という程度のイメージだけでよい。後は見れば、いや、聴けばおのずと感じるのだ。
見始めたら解説やストーリーなど追う必要はない。
音の良く聴こえる設備で、それが不十分ならばヘッドフォンでこの作品を聴いてほしい。おそらくこれまで聞いたことのない力がこもった音が聴けるはずだ。
そして歌っている彼らの表情。その二つから伝わってくるものは、おそらくどんな映画よりも純粋で、かつ、我々には幸か不幸か表出していないものだと思う。
あくまで個人的な意見だが、この感覚を体感している者こそ真にリアルであると言えると考える。いま日本のHipHopを司っている若者たちにぜひ見てもらいたいと切に願ってやまない。